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感染症(新型コロナ)で自社イベント開催中止! 損害賠償の対策は?

2020年12月22日
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感染症(新型コロナ)で自社イベント開催中止! 損害賠償の対策は?

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、自社で開催するイベントの中止が余儀なくされた……。このとき、主催者としては、イベントに出演する予定だった演者や働くはずだったスタッフなどに、損害賠償が必要なのかどうかが不安な要素としてあるでしょう。

奈良県でも、紅葉で有名な竜田川の紅葉祭りや、天理市のじゃんじゃん市など、令和2年11月に開催を予定していたイベントの中止が相次いでいます。現在も新型コロナウイルスの全国的な広がりに伴い、クリスマスやお正月に向けてイベントを控えていた企業では、苦渋の決断を迫られているところも少なくないでしょう。

また、奈良県庁のホームページでは、参加者が1000人を超えるイベントの施設管理者や主催者に対して、県に事前に相談するよう呼びかけ、感染防止対策について努めています。

本記事では、ベリーベスト法律事務所 奈良オフィスの弁護士が、イベントの中止によって損害賠償責任が発生するケースや対処法についてわかりやすく解説しています。トラブルが発生しても、冷静に対応するためにお役立てください。

1、新型コロナウイルスで全国的にイベントが中止に

新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い、全国でイベント開催の中止が相次いでいます。

令和2年3月19日から13日間開催予定だった第92回選抜高校野球大会(春の甲子園)、同年8月10日から16日間開催予定だった第102回全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)が中止となった事例は記憶に新しいでしょう。これまで夏の甲子園は戦前に2回中止がありましたが、春・夏ともに中止になるのは史上初。テレビやネットで大きく取り上げられたので、突然の中止に涙する高校球児の姿を見た方もいるかもしれません。

奈良県に限って言えば、令和2年2月28日の段階で、中止または延期となったイベント・行事の数は177件でした。新型コロナウイルスの影響はその後もおさまらず、3月以降のお寺の行事、お祭り、コンサートなども次々と中止になっています。今後のイベントでも、同年11月15日開催予定だった第41回都祁高原マラソン大会や、令和2年12月12日・13日開催予定だった奈良マラソン2020が中止と発表されています。

また、全国的なクリスマスのイルミネーションやライトアップ、フードフェスなど冬にかけてのイベントも続々と中止が発表されています。

2、イベント中止で出演者や関係者への損害賠償はどうなる?

開催されるはずだったイベントが中止となったとき、出演者やそれ以外の参加予定者は、報酬や給料を得る機会を逃してしまうことになります。このとき、中止を決断した主催者は損害賠償責任を負わなければならないのでしょうか。

以下、法律を踏まえながら詳しく解説していきます。

  1. (1)主催者側の責に帰すべき事由があるか

    出演者や参加者、スタッフ、イベントの配信事業者、施設事業者など、イベントの関係者に対する損害賠償は、「主催者側の責に帰すべき事由があるか」が焦点となります。簡単に言えば、主催者の責任であるという明確な理由があるかどうか、ということです。

    では、そもそもどのような場合に主催者側の責に帰すべき事由があるとされ、どのような場合にないとされるのかを見ていきましょう。

    ●主催者側の責に帰すべき事由があるケース
    自粛ムードで開催しても採算が取れない、などの理由で中止したとき
    感染症に関する対策の準備を何もしていない、などの理由で中止したとき

    ●主催者側の責に帰すべき事由がないケース
    感染拡大が広がっていて国や都道府県の自治体からイベントの自粛が要請されたとき
    施設事業者から利用しないでほしいと言われたとき


    民法第536条第2項では、主催者側の責に帰すべき事由とみなされた場合、反対給付の全額を支払うことを拒むことはできないとされています。反対給付とは、買い主の給付に対して支払うべき売り主からの対価(給付)です。したがって、主催者は、出演者や参加予定者に対して報酬や給料を支払わなければならず、もし不払いのままでいると損害賠償責任が問われる可能性があります。

    ただ、同項によれば、債務者は債務を逃れたことによって利益を得たときは、債権者にそれを償還しなければならないとされています。そのため、たとえば出演者などがイベント中止によってホテルに宿泊する必要がなくなったり、交通費を支払わずに済んだりした場合、主催者がその分をすでに支払っている場合には返還請求をすることが可能です。

    一方、主催者側の責に帰すべき事由がない場合は、主催者は報酬の支払いを拒否することが可能です(民法第536条第1項)。したがって、損害賠償責任があるとはみなされにくいでしょう。

  2. (2)消費者が相手の場合は主催者の債務不履行が焦点

    次に、イベントで入場料やチケット販売をしていた場合を見ていきましょう。

    この場合、イベントの主催者が債務者(イベントの開催義務を負っている側)、消費者が債権者(イベントの実行を要求できる側)となります。

    そのため、主催者側の責に帰すべき事由がある場合、債務不履行としてチケット返金だけでなく、損害賠償が必要になる可能性があります(民法第415条)。場合によっては、会場に行くために予約した新幹線の切符代、イベント開催を見込んで予約したホテルの宿泊費などに対して、賠償金を支払わなければならないでしょう。

    ただ、イベントを延期して購入したチケットを再び開催したときに使えるようにしたり、消費者に参加特典を配布したりなどしたときは、損害賠償責任を負わずに済むこともあります。

    一方、主催者側の責に帰すべき事由がなかった場合、債権者である消費者は、民法第536条によって反対給付の履行(チケットの支払い)を拒むことができます。したがって、このときも、主催者側はチケットの払い戻しについては応じる必要があります。しかし、損害賠償責任については、必ずしも負わなければならないわけではありません(民法第415条)。

  3. (3)ただし契約で決められている場合はそれに従う

    以上で紹介した損害賠償責任が問われるケースは、あくまで契約で決められていなかった場合に限ります。契約書や定型約款で、不可抗力の事由によって中止した場合の対処法が書かれている場合は、それに従うのが通例です。詳しくは下記で紹介します。

3、イベント中止で発生する損害にも保険が適用される?

保険会社によっては、イベント中止で発生する損害に対する保険(興行中止保険)が用意されています。たとえば悪天候や自然災害、出演者の体調不良、機材のトラブルなどで、イベントの中止が余儀なくされたときに補償してくれることがあります。

ただし、新型コロナウイルスを理由としたイベント中止で、保険金が支払われないのが一般的です。おおよそ、どの保険会社の保険約款にも、指定感染症は不払い事由とする旨が書かれています。

4、契約の内容が損害賠償に与える影響は?

イベントが中止されたとき、主催者側に損害賠償の義務が発生するかどうかは、事前に交わされた契約内容が関係します。損害賠償に対して具体的にどんな影響を与えるのか、出演者や関係者の場合と消費者の場合にわけてご説明しましょう。

  1. (1)出演者や関係者の場合

    イベントの出演者やスタッフの場合、不可抗力の事由でイベントが中止になったときの対処は、契約内容によって大きく左右されます。たとえば、「やむを得ない事情の場合はイベントを中止する。その際、報酬の支払いは発生しない」とあれば、損害賠償の義務はないとみなされやすくなるでしょう。

    ただ、施設事業者に利用料金を支払う契約を結んでいた場合は、契約の文言によって変わるので注意しなければいけません。たとえば、「イベントのために施設を貸し出す」などと記載されていなければ、施設利用料金の支払い義務が生じます。仮に感染症でイベントが中止になったとしても、施設を貸し出すこと自体はできると解釈されるのが一般的だからです。したがって、もし利用料金の支払いをしなかったり、支払いが遅れたりすれば、損害賠償責任が問われる可能性が出てくるでしょう。

  2. (2)消費者の場合

    入場料や参加料をもらう消費者の場合、両者は消費者契約を結んでいます。このときは、主に定型約款に従うことになります。これは、チケットがウェブサイト上での販売が主流で、その場合は利用規約が定型約款に該当することが多いためです。

    したがって、定型約款に「不可抗力の事態が発生したときはイベントを中止する。その際、払い戻しは行わない」と記載されている場合、損害賠償責任を負わなくてよい可能性があります。

    ただし、定型約款は、消費者に対して事前に明示しておき、合意を得なければ無効とされます(民法第548条の2)。払い戻しに関する条項が、消費者に対して一方的に損害を与えるような場合も同様です(消費者契約法第10条)。もし無効とされた場合は、上述した民法や消費者契約法に基づいて判断されることになります。

5、コロナ禍における顧問弁護士のメリット

新型コロナウイルスの感染拡大は、今日に至るまでおさまる気配がありません。全国単位で見れば感染者は連日出ており、時折、クラスター(感染のつながりがある小さな集団)も発生しています。

冬季は新型コロナウイルスの流行が長引く可能性が否めないため、イベント関連の事業者にとっても慎重にならざるを得ない状況が続くことでしょう。今後、イベントの中止に関するトラブルに、まったく巻き込まれないとも言い切れません。

もし法的なトラブルが発生した場合は、弁護士に相談するのをおすすめします。法的根拠に基づいて交渉やリスクヘッジのアドバイスをする弁護士は、先行きが不透明ないまこそ心強いパートナーとなるでしょう。

また、より迅速な解決をのぞむときは、顧問弁護士をつけるのもいいでしょう。顧問弁護士なら、トラブルが発生してから弁護士に依頼するよりも、よりスピーディーかつ的確な対応が可能になります。トラブル発生から時間を空けずに対処することは、企業の信頼回復に大きく寄与します。また、弁護士と定期的にコミュニケーションを取ることで、変化する自社の問題や時事的なトラブルにベストな対策法を提示してもらえます。加えて、日々の事業運営の中で、法律に関する相談を気軽に質問できるのも顧問弁護士のメリットです。

前述のように、イベントの中止によって損害賠償責任が発生するかどうかは契約内容がポイントとなります。契約が無効とされた場合、使用者の責に帰すべき事由があるかどうかが焦点となりますが、これは個々の状況によって判断が変わるものです。相手との折り合いがうまくつかず、裁判に発展するケースが少なくありません。

ベリーベスト法律事務所の「リーガルプロテクト」は、月額3980円から顧問弁護士に相談できる企業法務サービスです。弁護士以外にも労務士、税理士、司法書士などが必要に応じて連携しワンストップでサポートするのが強みです。顧問弁護士をつけると費用がかさむ……と思い悩む経営者の方も少なくありません。しかし、リーガルプロテクトなら気軽にサービスを利用することが可能です。顧問弁護士がいれば、契約を結ぶ前に、この契約書が法的に有効かどうか気軽にリーガルチェックを依頼することもでき、事前にリスクを回避するなどで、結果的に安く済ませられることもあります。

6、まとめ

新型コロナウイルスによるイベントの中止は、主催者にとって、やるせないものでしょう。とはいえ、さらに厳しい状態に陥らないように、損害賠償に関する法的な対処法を把握し備えておくことは事業存続のためにも不可欠と言えます。

実際の対処については弁護士と連携しながら進めるのが堅実です。ベリーベスト法律事務所 奈良オフィスでは、通常相談に加えて顧問弁護士サービスも承っております。トラブルでお悩みの際はお気軽にご相談ください。企業法務に実績のある弁護士が、問題解決に向けて全力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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