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就業規則の周知義務とは? 違反したらどうなる?

2024年05月23日
  • 労働問題
  • 就業規則
  • 周知
就業規則の周知義務とは? 違反したらどうなる?

奈良県が公表する「令和3年経済センサス-活動調査 奈良県結果(確報)」によると、奈良県内の事業所数は4万5583事業所あります。

常時10人以上の労働者を使用する事業所では、就業規則の作成が義務付けられています。また、作成した就業規則については、労働基準監督署への届出に加えて、労働者への周知の手続きが必要になります。就業規則の周知を怠ると、罰則の適用を受けるだけでなく、就業規則の効力を発揮できない可能性もある点に注意が必要です。

本コラムでは、就業規則の周知義務と周知義務に違反した場合のリスクについて、ベリーベスト法律事務所 奈良オフィスの弁護士が解説します。

1、就業規則の周知義務とは

まず、就業規則の周知義務の概要や、労働者に周知するための具体的な方法を解説します。

  1. (1)就業規則とは

    就業規則とは、労働者の労働時間や賃金などの労働条件、会社内の規律など雇用に関するルールなどをまとめた規則集です

    常時10人以上の労働者を使用している事業所には、就業規則の作成が義務付けられています。
    また、就業規則で職場内のルールを定めれば労使間のトラブルを防ぎやすくなるため、作成義務のない企業でも、基本的には就業規則を作成したほうがよいといえます。

  2. (2)就業規則を作成した場合には届出と周知が必要

    就業規則を作成した場合には、所轄の労働基準監督署に届出を行わなければなりません。
    また、届出は作成時だけではなく、就業規則の変更時にも必要になります。
    さらに、就業規則を定めた場合は、その内容を労働者に周知することが義務付けられているのです。

    就業規則の周知義務は、就業規則の作成義務の有無にかかわらず適用されます。
    そのため、常時雇用する労働者が10人未満の事業所でも就業規則を定めた場合には、労働者に対して周知する必要があります。

  3. (3)就業規則の周知方法

    就業規則を定めた場合には、以下の方法によって周知を行いましょう。

    ① 職場内の見やすい場所に掲示または備え付ける
    就業規則を職場内の見やすい場所に掲示または備え付けて、労働者にいつでも閲覧できる状態にすることで周知を行うことができます。

    鍵のかかったロッカーなどで保管していても、周知したことにはならないことに注意しましょう。

    ② 書面で労働者に交付する
    労働者の数が少ない事業所であれば、労働者に就業規則の内容を記載した書面を記載することで、周知を行うことができます。

    しかし、多数の労働者がいる事業所では印刷コストがかかるため、現実的な方法ではない場合もあるでしょう。

    ③ データで共有する
    社内のファイルサーバーや共有フォルダなどで就業規則のデータを保存して、労働者が自由にアクセスできる状態にしておくことで周知を行うことができます。

    ただし、職場内での掲示または備え付けと同様に、すべての労働者がアクセスできる状態にしておかなければ「周知」とはいえません。

  4. (4)派遣社員がいる場合には周知方法に工夫が必要

    派遣労働者は、派遣元の会社との間で労働契約を締結し、派遣先で働いています。
    この場合には、就業規則の周知義務を負うのは派遣元の会社になります。

    派遣労働者は、通常は派遣先の企業で働いているため、派遣元の企業に立ち寄る機会はあまりないでしょう。
    就業規則を周知する方法としては、派遣労働者ひとりひとりに書面で配布をするか、電子媒体に記録して、それを常時確認できる状態にしておくことが望ましいといえます。

2、周知義務違反をした場合はどうなる?

以下では、就業規則の周知義務に違反した場合に生じるリスクを解説します。

  1. (1)就業規則の周知義務違反行為とは

    以下のような場合には、就業規則の周知がなされたとはいえず、就業規則の周知義務違反になる可能性があります。

    • 就業規則が職場内に備え付けられていたとしても、上司の許可がなければ閲覧することができない
    • 就業規則をファイルで共有しているが、パスワードを知らないと閲覧することができない
    • 古い就業規則が掲示されていて、最新のものに変えられていない
  2. (2)就業規則の周知義務に違反した場合のリスク

    就業規則の周知義務に違反した場合には、以下のようなリスクが生じます。

    ① 労働者との関係でのリスク
    就業規則が労働者に周知されていない場合には、当該就業規則は無効になるため、就業規則の内容に従ったルールを労働者に強制させることはできません。

    就業規則には、労働契約にはない細かいルールが多数規定されているため、就業規則が無効になってしまうと、職場内の秩序が維持できなくなってしまいます。
    したがって、労働者とのトラブルを回避するためにも、しっかりと周知することが大切です。

    ② 行政との関係でのリスク
    就業規則の周知義務に違反した場合、労働基準監督署から指導や是正勧告を受ける可能性があります。

    また、労働基準監督署からの是正勧告に応じなかった場合には、30万円以下の罰金という刑事罰が科される可能性もあるのです。

3、就業規則を変更する場合の流れ

就業規則を変更する場合の手続きは、以下のような流れになります。

  1. (1)就業規則の変更内容の検討

    就業規則の変更をする場合には、総務部や法務部などの担当部署で変更後の就業規則の内容を検討します。
    変更後の就業規則が労働者に対して不利益を課すものである場合には、合理的な理由がなければ無効になるおそれがあることに注意が必要です。

    合理的な理由の有無は、具体的には以下の要素をふまえて判断されます。

    • 労働組合または労働者の大部分の合意の有無
    • 不利益の程度
    • 変更の必要性
    • 代替措置、経過措置の有無
  2. (2)意見書の作成

    就業規則の変更をする際には、労働者の過半数代表者の意見書の作成も必要になります。
    過半数の労働者が加入する労働組合がある場合には労働組合の代表者、そのような労働組合がないときは従業員の過半数が指示する人が代表者になります。

    なお、あくまでも意見書の作成が要求されているだけであるため、代表者の同意まで得る必要はありません。
    ただし、不利益変更を伴う場合には、できるかぎり多くの労働者の同意を得るのが望ましいでしょう。

  3. (3)就業規則変更届の作成および届出

    所轄の労働基準監督署への届出は、以下の書類を提出して行います。

    • 就業規則変更届
    • 意見書
    • 変更後の就業規則


    上記の書類を2部作成して、1部に受領印を押してもらったうえで、社内で保管するようにしましょう。

  4. (4)変更後の就業規則の周知

    就業規則の変更をした場合には、就業規則の作成と同様に労働者への周知が必要になります。

    周知方法としては、変更後の就業規則を周知すれば足ります。
    しかし、どの部分が変更になったのかがわかるように新旧対照表も一緒に掲示すると、労働者としても理解しやすくなるので、新旧対照表も作成することをおすすめします。

  5. (5)就業規則を紛失してしまったら、再作成・届出が必要

    就業規則を紛失してしまうと、労働者への就業規則の周知ができていない状態になります。このような状態は労働基準法違反であるため、すぐに就業規則を再作成して、再度労働基準監督署への届出および労働者への周知を行いましょう。

    なお、労働基準監督署には過去の就業規則が保管されていますが、就業規則の再発行をしてもらえるわけではありません

4、弁護士がスタートアップ企業に対してできること

以下では、スタートアップ企業が弁護士を活用することのメリットを紹介します。

  1. (1)人を初めて雇う場合の法的なアドバイスができる

    スタートアップ企業は、創業して間もない企業も多いため、これから新たに従業員の雇用を進めていく段階であることが多いでしょう。
    従業員を雇う場合には、雇用契約書や就業規則の整備が必要になります。

    インターネット上では、さまざまなひな形が用意されていますが、一般的な企業を想定したものが多く、スタートアップ企業のように革新的なビジネスモデルを展開する企業では、そのままの内容では不向きなことが多いです。
    弁護士であれば、スタートアップ企業の事業内容や規模する雇用条件などをふまえて、最適な雇用契約書や就業規則の作成のアドバイスやサポートを行うことができます。
    経営者の方が本業に集中するためにも、法務関係の作業は弁護士に任せることをご検討ください

  2. (2)事業を進めていくうえでの法的アドバイスができる

    スタートアップ企業は、事業を進めていくにつれて、さまざまな悩みに直面することになります。
    法的なトラブルや悩みが生じた場合には、きちんと対処しておかなければ問題が深刻化して、企業にとって大きな損失が発生する可能性もあるでしょう。

    顧問弁護士契約を締結すれば、定期的なリーガルチェックや日常的な法律相談などを気軽に弁護士に依頼できるため、企業が直面する法的リスクを回避しやすくなります
    企業の発展を継続させていくためにも、ぜひ、顧問弁護士の利用をご検討ください。

5、まとめ

就業規則を作成した企業は、それを労働者に対して周知する必要があります。
また、単に事業所に就業規則を保管しておくだけでなく、労働者がいつでも自由に閲覧できる状態にしておかなければ、周知とはいえません。
周知義務違反になることを避けるためにも、周知方法についてはいちど見直しておくことをおすすめします。

スタートアップ企業の経営者で、就業規則の作成や変更をお考えの方や、その他にも労務や人事に関して法的な検討をしたいと希望されている方は、まずはベリーベスト法律事務所 奈良オフィスにご相談ください。
就業規則の作成や変更についてのアドバイスから、顧問弁護士サービスまで、ベリーベスト法律事務所は企業のニーズに幅広く対応します。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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