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偽装フリーランスとみなされるケースとは? 企業が留意すべきポイント

2024年04月25日
  • 一般企業法務
  • 偽装フリーランス
偽装フリーランスとみなされるケースとは? 企業が留意すべきポイント

働き方改革により政府が多様な働き方を推進した結果、企業としても、業務をフリーランスに外注する機会が増えています。

それに伴い、最近では、「偽装フリーランス」や「偽装請負」が問題視されるようになりました。

本コラムでは、偽装フリーランスや偽装フリーランスに当てはまる場合やその罰則など、企業が留意しておくべきポイントについて、ベリーベスト法律事務所 奈良オフィスの弁護士が解説します。

1、従業員とフリーランスの違い

  1. (1)フリーランス

    「フリーランス」は法律によって明確に定義された言葉ではありませんが、厚生労働省のガイドラインによると、実店舗を有しておらず、自営業主やいわゆる一人社長であって、自分自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者を指すとされます

    フリーランスは取引先と業務委託契約を締結し、委託された業務を履行する対価として、収入(業務委託料)を得ています。
    業務委託契約では、委託者(取引先)と受託者(フリーランス)という法的には対等な契約当事者であるため、受託者であるフリーランスは、委託者である取引先からの指揮命令を受けることはありません。

    フリーランスは、取引先から独立した当事者として、業務委託契約に定められた契約を履行することになるのです。

  2. (2)従業員との違い

    フリーランスは会社と業務委託契約を締結しているのに対して、従業員は会社と雇用契約を締結しています。
    従業員には労働基準法などが適用されることから、最低賃金や時間外労働の場合の割増賃金、休日や有給休暇などが法律によって保障されます。

    従業員は会社と雇用契約を締結して、会社から指揮命令を受ける立場であるという点が、フリーランスとの大きな違いとなります。

2、偽装フリーランスとは

以下では、「偽装フリーランス」の概要や、企業が偽装フリーランスにあたる働かせ方をしたときに受ける罰則について解説します。

  1. (1)偽装フリーランスとは

    「フリーランス」が法令上の用語ではなかったのと同様に、「偽装フリーランス」という言葉も法律によって定義されているわけではありません。

    一般的には、「表面上はフリーランスとの業務委託契約を締結しているが、その実態は、労働者同様の雇用契約になっている状態」のことを指します。

  2. (2)偽装フリーランスが行われることによる弊害

    偽装フリーランスは、その実態が雇用契約ではあるものの、表面上は業務委託契約になっています。

    雇用契約が締結された会社の従業員であれば、労働基準法が適用され、原則として時間外労働をさせることができまず、時間外労働をさせたとしても割増賃金の支払いや、労働時間の上限があります。
    また、従業員であれば、有給休暇も取得できますし、簡単に解雇をすることはできません。

    しかしながら、表面上・形式的には、偽装フリーランスとの契約は業務委託契約であるために、雇用契約を締結していれば受けることができた労働者としての各種保障を受けることができなくなってしまうのです。

  3. (3)偽装フリーランスに該当した場合の罰則

    企業が業務委託契約を締結した相手を偽装フリーランスとして働かせると、その実質は雇用契約となるので、適用されるべき労働基準法上のルールが適用されないということになり、労働基準法違反が成立する可能性があります

    たとえば、偽装フリーランスの場合には、雇用契約を前提にした時間外労働を可能にする36協定を締結することはありません。
    したがって、会社が契約相手を法定労働時間以上に労働をさせた場合は、労働基準法違反となるのです。
    この場合には、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

3、偽装請負との違い

以下では、偽装フリーランスと似た問題である「偽装請負」の概要や、偽装フリーランスと偽装請負との違いを解説します。

  1. (1)偽装請負とは

    偽装フリーランスと同じく偽装請負も法律によって定義された言葉ではなく、どのような場合を指したりどんな状況を意味したりするかは、文脈によって異なります。

    まず、偽装請負も偽装フリーランスと同様に、個人事業主などと表面上は業務委託契約を締結して、実態は雇用契約である場合を指すことがあります
    この文脈では、偽装請負は偽装フリーランスも同義となります。

    次に、偽装請負には、以前から労働者派遣事業の関係で社会問題となってきた状況を指す場合があります。
    具体的には、「表面上は請負契約であるものの、その実態は労働者派遣が行われている」という状況です。
    この場合には、偽装請負と偽装フリーランスは別の意味になります。

  2. (2)偽装請負の場合の法律違反

    「表面上は請負契約であるものの、その実態は労働者派遣が行われている」という場合には、企業には以下のような法律に違反することになります。

    • 労働者派遣法違反
      労働者派遣事業を実施する場合には、厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。
      このような厚生労働大臣による労働者派遣事業の許可を受けていなかったにもかかわらず、偽装請負を行い、業として労働者派遣と評価される行為をした派遣元には、労働者派遣法違反に該当します。

      また、派遣先についても、無許可で労働者派遣事業を行う会社から労働者派遣を受けた場合には労働者派遣法違反が成立することになるのです。

    • 職業安定法違反
      職業安定法では、労働組合等が厚生労働大臣の許可を受け無償で行う場合を除いて、労働者供給事業の実施や労働者の供給による労働者の受け入れの一律禁止がなされています。
      ここでいう「労働者供給事業」とは、自社とは雇用の関係にはない者を供給契約によって、他社に派遣して、派遣先の指揮命令下で労働させることをいいます。

      請負契約に基づいて、他社に対して派遣することになる作業者が、自社で雇用する労働者ではなく、再委託先のフリーランスであるケースもあるでしょう。

      このときに、「派遣先と作業者フリーランスの間において実質的な雇用契約があった」と評価された場合には、禁止された労働者の供給と評価されることになってしまうのです。
      有料の労働者供給事業は一律に禁止されているため、このような派遣が労働者の供給と評価された場合には、職業安定法違反となります。

4、偽装フリーランスに該当する場合

契約相手の働かせ方が偽装フリーランスと評価されるかどうかは、フリーランスと取引先の間に指揮命令関係があるかどうかによって判断されることになります。

具体的には、以下のようなポイントが判断基準となります。

  • 「指揮監督下の労働」であるかどうか(労働が取引先の指揮監督下において行われているかどうか)
  • 「報酬の労務対償性」であるかどうか(報酬が取引先の指揮監督下における労働の対価として支払われているかどうか)
  • 事業者性があるかどうか(業務に必要な機械などを発注者と受注者のどちらが負担しているか)
  • 専属性があるかどうか(特定の発注者への専属性が高いと認められるか)

5、フリーランス活用を検討するなら弁護士に相談

働き方の多様化や柔軟化に伴い、会社がフリーランスを活用することも、近年ではますます盛んになっています。
一方で、「従業員と異なり、労働基準法上のルールなどが適用されないから会社にとっての負担が少ない」といった都合の良い考えにとらわれて、安易にフリーランスと業務委託契約を締結したうえで労働者同様に取り扱ってしまうと、労働基準法に違反して、罰則を受けるおそれがあります。

このような事態を回避するためには、フリーランスの活用を考えた段階で弁護士に相談して、具体的な活用方法や業務委託契約書に関してアドバイスを得ることが大切です。
早期に相談することで、労働基準法にも違反しない、適切なフリーランス活用スキームを構築することができるでしょう。

6、まとめ

フリーランスの活用は年々盛んになっていますが、その一方で偽装フリーランスが問題視されています。企業側としても、意図せずに偽装フリーランスにあたる働かせ方をして、労働基準法違反のペナルティーを受けてしまうことがないように、フリーランスと業務委託契約を締結する際には注意が必要です。

委託する具体的な業務内容に問題はないか、雇用契約と評価される点はないか、契約書に問題はないかなど、法律上の問題を適切にクリアするため、まずは専門家である弁護士に相談しましょう。

ベリーベスト法律事務所 奈良オフィスでは、業務委託契約や労働基準法に関するものを含めて、労働問題や企業法務に関するご相談全般を承っております。フリーランスの活用を検討されている企業の経営者の方は、お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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