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未成年(年少者)の雇用に関する、労働時間など労基法の注意点を解説

2023年08月31日
  • 労働問題
  • 未成年
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未成年(年少者)の雇用に関する、労働時間など労基法の注意点を解説

2022年(令和4年)4月1日から民法上の成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。
未成年の雇用については、労基法(労働基準法)において、雇用できる最低年齢・労働時間・就労できない業務などのさまざまな規定がなされています。
2022年以前から労基法における就業制限の多くは満18歳以下の「年少者」を対象にしたものであったため、民法改正の前後で変更された点は多くありませんが、未成年を雇用している企業や店舗の経営者の方は労基法の規定について改めて把握しておくべきでしょう。

本コラムでは、未成年や年少者の雇用に関する労働基準法の規定について、ベリーベスト法律事務所奈良オフィスの弁護士が解説します。

1、労働基準法における未成年とは

労働基準法の未成年の扱い、また、未成年を使用できる最低年齢について解説します。

  1. (1)労働基準法における未成年の区分

    労働基準法では、18歳未満の労働者を年齢によって、「年少者」と「児童」の2種類に分け、成年の労働者とは異なる特別な保護を図っています。

    「年少者」は、満18歳未満の者を指します。たとえば、18歳なら成人にあたり、17歳は年少者になります。

    「児童」には、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでが該当します。3月30日に15歳の誕生日を迎えていれば、3月31日の時点では児童ですが、4月1日以降は年少者です。

  2. (2)労働基準法の最低年齢と例外

    労働基準法では、労働者として働くことができる最低年齢を、原則として満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了した人と定めています。

    したがって、原則として児童を労働させることは禁止となります。

    ただし例外として、非工業的業種であり、かつ以下の条件を満たした場合にのみ、満13歳以上の児童を使用することを認めています。

    • 児童の健康および福祉に有害でないこと
    • 児童が担当する労働が軽易であること
    • 児童の修学時間外の労働であること
    • 所轄の労働基準監督署長の許可があること


    非工業的業種とは、商業、映画、演劇、通信、教育研究、保健衛生、接客娯楽、清掃などです。具体例としては、新聞配達などが該当します。

    なお、さらなる例外として、映画の制作または演劇の事業については、満13歳未満の児童であっても条件を満たせば労働者として使用できます。映画などに子役が登場するのはこのためです。

2、未成年・年少者雇用の際に注意すべき点

未成年者や年少者を雇用する場合、労働基準法が規定する各種の保護規定を順守しなければなりません。

また、各種の保護規定には、未成年者と年少者の両方に適用される規定と、年少者にのみ適用される規定があるので注意しましょう。

  1. (1)労働者に適用される保護規定

    未成年者に限らず、労働者は使用者に比べて一般に立場が弱いため、労働基準法は各種の保護規定によって労働者を保護しています。満18歳以上の成人の労働者に適用される保護規定は、未成年者にも当然に適用されます。

    労働条件を明示しなければならないこと、賃金の支払いや法定労働時間に関するルールを遵守すること、一定の場合に休憩時間や休日を与えなければならないことなどです。

  2. (2)未成年の区分と保護規定の関係

    労働基準法が規定する未成年の区分である未成年者、年少者、児童は、年齢が低い区分ほど保護も手厚くなっています。

    また、未成年者に適用される保護規定は下の年齢の区分である年少者や児童にも適用されますが、年少者や児童にのみ適用される区分は、上の年齢の区分である未成年者には適用されません。

  3. (3)親権者や後見人による労働契約の締結の禁止

    未成年者については、親権者や後見人が本人に代わって労働契約を締結することは禁止されています(労働基準法第58条1項)。

    これは、未成年者の親をはじめとする親権者や後見人が、本人の意思に反して未成年者を労働させることや、未成年者に不利な条件で労働させることを防止する趣旨です。

  4. (4)親権者や後見人による賃金の受領の禁止

    賃金は原則として労働者に対して直接支払われなければならないことが、労働基準法で規定されています(労働基準法第24条1項)。仲介業者等による搾取を防ぐ趣旨で、直接払いの原則といいます。

    未成年者の場合も同様で、親権者や後見人が本人に代わって未成年者の賃金を受領することは禁止されています(労働基準法第59条)。親権者や後見人が未成年者の賃金を搾取することを防ぐためです。

  5. (5)年齢証明書等の備え付け

    年少者を使用する場合、年少者の年齢を証明する公的な書面(戸籍証明書)を事業場に備え付けなければなりません(労働基準法第57条)。公的な書面とは、年少者の氏名と生年月日の記載のある住民票記載事項証明書です。

    なお、年少者と児童にのみ適用される規定なので、未成年者の場合は必要ありません。

  6. (6)労働時間や休日などの制限

    年少者には、原則として時間外労働や休日労働をさせることはできません。年少者の健康や成長を保護するためです。

    したがって、変形労働時間制やフレックスタイム制の適用も原則としてできません。


    ただし、以下のいずれかの場合は例外として変形労働時間制を適用できます。全体としては休日が増加し、年少者の利益になるからです。

    • 1週40時間を超えない範囲で、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮し、かつ他の日の労働時間を10時間まで延長する場合
    • 1週48時間と1日8時間を超えない範囲で、1か月または1年単位の変形労働時間制を適用する場合
  7. (7)深夜労働の制限

    原則として、年少者を午後10時から翌日午前5時までの深夜時間帯に労働させることはできません。ただし、以下の場合は例外が認められます。

    • 満16歳以上の男性が交代制で勤務する場合
    • 厚生労働大臣が必要と認める地域または期間の場合
    • 交代制の事業で行政官庁の許可を受けた場合
    • 災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合
    • 電話交換、農林水産業、保健衛生業など一部の業務
  8. (8)危険有害業務や坑内労働の禁止

    年少者を使用する場合、炭山・鉱山などの一定の危険区域、または有害な業務については就業が禁止されています。年少者の健康の確保や健全な育成を保護するためです。

    危険または有害を理由に就業が禁止されている業務は多岐にわたりますが、たとえば、以下のものが該当します。

    • 年齢や性別に基づく一定の重量制限を超える重量物を取り扱う業務
    • 一定のボイラー、エレベーター、貨物自動車などを取り扱う業務(安全上有害な業務)
    • 水銀などの有害物、有害な放射線、強烈な騒音、病原体による著しい汚染のおそれがある業務など(衛生上有害な業務)
    • 焼却、清掃、酒席に侍する業務など(福祉上有害な業務)
  9. (9)帰郷旅費の負担

    年少者が解雇された日から14日以内に帰郷する場合、使用者は帰郷に必要な旅費を負担しなければなりません。

    ただし、年少者に責任がある理由に基づいて解雇され、かつその事由について行政官庁の認定を受けた場合は、例外として旅費を負担する必要はありません。

3、労働基準法を違反した際の罰則

未成年者や年少者に関する、労働基準法違反の主なケースと罰則について解説します。

未成年を使用できる最低年齢に違反した場合と、年少者を坑内で労働させた場合は、労働基準法の第118条違反となり、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

年少者に深夜業をさせた場合と、年少者に危険有害業務をさせた場合は、労働基準法の第119条に違反となり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

年少者の年齢証明をしなかった場合と、未成年者に代わって親権者・後見人が労働契約の締結や賃金の受け取りをした場合は、労働基準法の第120条に違反となり、30万円以下の罰金が科される可能性があります。

4、未成年の雇用について迷ったら弁護士へ

未成年を雇用する場合、これまで解説してきたさまざまな保護規定に違反しないように、成人の労働者に比べてより綿密に労働基準法を把握しておくことが重要です。

とはいえ、忙しい業務の中で労働基準法を適切に把握し、かつあらゆる規定に違反しないように行動するのは簡単ではありません。課題を解決し適切に労働者を使用するには、労働問題に経験豊富な弁護士に相談するのがおすすめです。

5、まとめ

アルバイトなどで未成年を雇用する場合、雇用できる最低年齢や、深夜労働の制限などの保護規定に違反しないように注意することが大切です。労働基準法の規定に違反した場合、違反の内容によって懲役や罰金などの罰則の対象になります。

未成年は年齢によって未成年者、年少者、児童に区分されており、種類によって適用される保護規定が異なる場合がある点にも注意が必要です。

未成年を雇用するかでお悩みの方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所 奈良オフィスにご相談ください。労働基準法に知見のある弁護士が、適切な雇用をするために親身になってアドバイスいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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