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催告が可能になる期間の目安|催告の効果についても詳しく解説

2022年10月13日
  • 個人のトラブル
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催告が可能になる期間の目安|催告の効果についても詳しく解説

「友人にお金を貸したものの、返済してもらえない」、「物を売ったにもかかわらず、期限が過ぎても支払いがない」という経験をしたことがある方もいるでしょう。

このような場合には、相手に対して支払いの催告をすることによって、支払いをしてもらえる可能性がありますが、仮に支払いをしてもらえなかったとしても、時効の完成猶予といった法律効果が生じます。また、相手との契約関係を解消するために催告が必要となる場合もあります。

債権回収をする場合には、早期に対応することによって回収可能性がアップしますので、滞納が生じた場合には、早めに対応に着手することが大切です。今回は、催告について、ベリーベスト法律事務所 奈良オフィスの弁護士が解説します。

1、催告とは

催告とは、裁判外で、債権者が債務者に対して、債務の履行のために一定の行為を要求することをいいます。たとえば、友人にお金を貸している方が、「○○日以内にお金を返してほしい」などと要求することが催告にあたります。

催告の方法には、法律上特別な決まりはありませんので、口頭でも行うことができます。しかし、口頭での催告では、催告をしたという証拠が残りませんので、催告をする場合には、配達証明付きの内容証明郵便を利用して行うのが一般的です

催告によって一定の法律効果が生じることになりますので、後日トラブルが生じることを避けるためにも、必ず書面によって催告をするようにしましょう。

2、催告解除について(催告に必要な相当期間について)

催告解除(民法541条)をする場合には、相当期間を定めた催告が必要となります。この場合の相当期間とはどの程度の期間なのでしょうか。

  1. (1)相当期間の判断基準

    まずは、条文の規定を確認しましょう。

    ■ 民法541条 本文
    当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。


    このように、催告解除をする場合には、相当の期間を定めて催告をすることが要件とされていますが、具体的に、相当の期間として、どの程度の期間を定めればよいのでしょうか。

    催告は、債務者に対して、債務の履行の機会を与えるためのものですので、相当の期間は、債務の内容や取引慣行などを考慮して判断していくことになります。

    しかし、民法541条本文にいう催告は、すでに履行期を経過している債務者に対してする催告と位置づけられています。したがって、ここでいう相当の期間は、催告を受けて初めて履行の準備を行い、履行を完成させるために必要となる期間ではなく、催告の時点で、すでに履行の準備の大部分が完了していることを前提に、なお履行のために必要となる時間であると考えられています。

    ちなみに、催告の際に定めた期間が、相当の期間に足りない場合であっても、催告自体が無効になることはないとされています。この場合には、催告後、(催告の際に定めた期間ではなく)相当の期間の経過によって、民法541条本文にいう相当の期間を定めた催告がなされたものと評価されます。

  2. (2)債権の種類ごとの相当期間

    以下では、代表的な債権の種類ごとに催告で必要となる期間について説明します。

    ① 賃貸借契約の解除
    賃借人による賃料不払いがあった場合には、不払の程度によっては、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借契約を解除することができる場合があります。

    賃料不払を原因として賃貸借契約を解除する場合には、契約書に無催告解除特約がある場合等を除き、原則として賃借人に対して相当期間を定めた催告が必要になってきます。

    ② 商取引における売買契約の解除
    売買契約締結後、買主による売買代金が支払われない場合には、売買契約を解除することができます。売買契約を解除する場合には、相当期間を定めた催告が必要になってきます。

    売買契約の当事者が会社や個人事業主などの商人であった場合には、取引の迅速性が要求される仕事に従事していることを考慮し、一般の私人間での取引に比べて短い期間で足りると考えられています。


    ①、②どちらも具体的な日数については弁護士に相談することをおすすめします。

3、催告をすると、どんな効果が発生するのか

催告をすることによってどのような効果が発生するのでしょうか。以下では、催告による代表的な効果について説明します。

  1. (1)解除権の発生

    債務者が債務の履行をしない場合であっても、そのままの状態では契約は有効なままですので、債権者としては、債務者との間の契約を解消したいと考えるでしょう。

    民法541条では、このような場合における契約の解除について定めています(催告解除)。債権者が相当の期間を定めた催告を行い、その期間内に債務者からの履行がなかった場合には、解除権が発生するため、債権者は、契約の解除をすることができます。

    このように、催告は、解除権の発生という法律効果を発生させるために必要な行為となります。

    なお、改正民法によって、催告後相当期間が経過したとしても、債務者による債務の不履行が軽微である場合には、契約の解除までは認められないことになりました。

  2. (2)履行遅滞の発生

    履行期とは、債務を履行すべき時のことをいいます。履行遅滞とは、債務者の責に帰すべき事由によって履行期までに履行がなされないことをいいます。

    履行遅滞は、解除権の発生や、損害賠償請求権の発生等、さまざまな法律効果と関係しますしたがって、これらの法律効果を有効なものとするためには、催告を適切に行うことが重要です

  3. (3)時効の完成猶予

    お金を貸した場合、貸主は借主に対して貸したお金の返還を求める権利があります。しかし、貸金の返還期限が過ぎても返済がなされず、そのままの状態で長期間放置していると時効によってお金の返還を求める権利が消滅することがあります。

    このような場合には、債権者は、債務者に対して催告を行うことによって、催告時から6か月が経過するまでの間、時効の完成が猶予されることになります。

    ただし、催告により時効の完成が猶予されている間に、再度催告をしたとしても時効の完成猶予の効果はありませんので、注意が必要です。

    催告による時効の完成猶予は、あくまでも一時的なものになりますので、時効の完成が猶予されている間に、貸金返還請求訴訟を提起するなどの方法をとる必要があります。

4、債権の回収は早期の対応が重要

債権回収をする場合には、早期に対応することが大切です。

  1. (1)早期対応により相手に対して本気度が伝わる

    支払期限が過ぎてもお金の支払いがない状態で放置していると、債務者の不誠実な態度を助長させるおそれがあります。「あの人はうるさく言ってこないから大丈夫だろう」などと思われてしまうと、いつまでたってもお金の支払いを受けることができません。

    そのため、債務者ごとの支払期限は、しっかりと管理するようにして、支払期限を1日でも過ぎた場合には、電話または書面による督促を行うことが大切です。

  2. (2)放置していると債務者の資産状況が悪化する

    債権回収の対象となるのは、あくまでも債務者自身の財産です。

    支払いを滞納している状態の債務者は、別の債権者に対しても支払いを滞納している可能性があります。別の債権者が先に債権回収に着手して、債務者から支払いを受けてしまうと、債務者の手元には残りの債権者に返済をするだけの資産がないということもあります。

    このような状態になってしまうと、たとえ裁判によって勝訴判決を得たとしても、債権回収をすることが難しくなります。そのため、債務者による支払いが滞った場合には、早期に債権回収に着手することが大切です。

  3. (3)長期間放置していると時効のリスクが生じる

    債務者から支払いがない状態で長期間放置していると、消滅時効が成立して、お金の支払いを受けることができなくなってしまう可能性があります。

    消滅時効が成立する前であれば、時効の完成猶予や更新などの措置を講じることによって、時効の完成をストップまたはリセットすることが可能です。

    債権回収をする場合には、放置しているとどんどん回収が難しくなってしまいますので、早めに弁護士に相談をすることをおすすめします。弁護士であれば、迅速かつ適切な手段によって債権回収を進めていきますので、時効によって権利が消滅してしまうというリスクを回避することが可能です。

5、まとめ

債権回収にあたっては、適切に催告ができるかが重要なポイントの一つです。ご不安があれば、一度弁護士に相談をしてみるとよいでしょう。債権回収などの問題でお困りの際には、ベリーベスト法律事務所 奈良オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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