借金を早く返済するためにできることとは? 返済方法とポイント
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借金をしている方の多くは、「1日でも早く借金を完済したい」と考えているでしょう。ただ漫然と借金の返済を続けているだけでは、いつまでたっても借金が減らないということもあります。
少しでも早く返済を終えたいという場合には、返済方法や収支の見直しなどを検討しましょう。また、借金の返済が難しいと感じた場合には、弁護士に相談したうえで債務整理を実施することをおすすめします。
本コラムでは、借金を早く返済するための返済方法や重要なポイントについて、ベリーベスト法律事務所 奈良オフィスの弁護士が解説します。
1、借金を返済するためにまずやるべきこと
まず、借金の返済をするためにやるべきことについて解説します。
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(1)借入総額を確認する
借金を早く完済したいのであれば、借金の現状を把握することが重要です。
借入先がひとつであれば借金総額の把握も容易ですが、複数の債権者から借り入れをしていると、どのくらい借金があるのかがわからないということもあります。
そのような場合には、まずは債権者ごとにどのくらいの借入残高があるのかを調べて、借金総額を把握するようにしましょう。 -
(2)自身の収支を把握し、返済に充てられる金額を確認する
借入総額の確認を終えたら、次は、自身の収支を把握する必要があります。
毎月の収入と支出を明確にすることができれば、借金の返済に充てることができる金額を把握することができます。
現在の返済額よりも上乗せして返済できる余裕がある場合には、返済方法などの変更によって、早めに借金を完済できる可能性があります。 -
(3)利息を把握する
借金は、元金のみを返済すればよいのではなく、元金に対する利息も含めて返済をしていかなければなりません。
債権者ごとに設定されている金利は異なるため、借金を返済していくにあたっては、債権者ごとの金利と完済までの利息を把握することが大切です。 -
(4)完済までのシミュレーションをする
貸入総額や自身の収支、利息などの把握ができたら、完済までのシミュレーションを行ってみましょう。
毎月の返済は、利息+元金の支払いになるため、たとえば毎月1万円の返済をするとして、「利息および元金にどのくらい充当されるのか」「完済までどのくらいの期間がかかるのか」といった点を理解しておく必要があります。
完済まで5年以上かかるような場合には、収支を見直したり債務整理をしたりすることも検討すべきです。
2、借金を返済するためのポイント
以下では、借金を早く返済するために押さえておくべきポイントを解説します。
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(1)金利の高い借り入れから優先して返済する
金利の高い借り入れがあると、利息の金額がふくらみ、返済総額が想像以上に多くなることがあります。
また、金利の高い借り入れでは、利息の支払いのみで元金がほとんど減らないことから、返済が長期化する場合もあります。
少しでも早く借金を完済したいのであれば、金利の高い借り入れから優先的に返済を行っておく必要があります。
消費者金融のローンやクレジットカードでのキャッシングは、金融機関からの借り入れに比べて金利が高い傾向にあるため、まずはそれらの返済から進めていくとよいでしょう。 -
(2)毎月の返済額を増やせないか検討する
毎月の返済額を増やすことができれば、借金を早く返済することが可能です。
返済額を増やすためには、収支の見直しが必要になりますが、収入をいきなり増やそうと思っても簡単にはできないため、基本的には、「支出」の見直しがメインになります。
そのためには、家計簿をつけるなどして、「毎月どのような項目で、どのような支出があるのか」という点を把握することが大切です。
とくに以下のような項目については支出を減らすことが容易であるため、不要なものについてはプラン変更や解約などを行いながら、支出を見直していきましょう。- 携帯電話やインターネット回線などの通信費
- 生命保険、損害保険、学資保険などの保険料
- 音楽や動画配信サービスなどの利用料
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(3)繰り上げ返済を検討する
ボーナスや臨時収入などがあり、返済資金に余裕がある場合には、繰り上げ返済をすることも早期の完済にとって有効な手段となります。
繰り上げ返済をすれば、支払期間が短くなるだけでなく、元金が減ることにより利息の総額も少なくなるため、返済総額も少なくすることができます。
繰り上げ返済は債務者にとってメリットの大きい返済方法であるため、積極的に検討するとよいでしょう。 -
(4)おまとめローンを利用する
「おまとめローン」とは、複数の債権者からの借り入れを一本化する方法です。
おまとめローンを利用すれば、借金の管理が容易になります。
金利の低いおまとめローンであれば利息の負担を抑えることができるでしょう。
ただし、おまとめローンを利用する際には事前にしっかりとシミュレーションをしておかなければ、返済期間が長期化することで、支払総額が増えるリスクもあります。
また、借金を返済するために新たな借り入れやリボ払いなどを利用すると一時的には返済が可能になるかもしれませんが、長期的にみれば借金の負担を増やすことになるので、避けた方がよいでしょう。
3、借金の返済ができず滞納してしまった場合のリスク
借金の返済ができず滞納してしまった場合、以下のようなリスクが生じることに注意が必要です。
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(1)催促が続く、督促状が届く
支払期限までに借金の返済ができないと、債権者から電話または書面により督促がきます。自宅に債権者からの督促が届けば、借金を秘密にしている家族にも借金をしていることが知られてしまうおそれがあります。
また、一定期間借金の滞納が続くと、債権者からは内容証明郵便で期限の利益喪失通知が送られてきます。
この書面が届くと、以前のように分割での返済は認められず、基本的には、すべての借金を一括で返済しなければなりません。 -
(2)遅延損害金の発生
遅延損害金とは、支払期限までに返済をしない場合に発生するペナルティーであり、返済を遅れた日数に応じて遅延損害金が加算されます。
遅延損害金は、利息よりも高い利率が設定されているのが通常であるため、滞納が長期間に及ぶと高額な遅延損害金を請求されるリスクが生じます。 -
(3)ブラックリストに載る
ブラックリストとは、信用情報機関に事故情報が登録されることをいいます。
信用情報機関とは、貸金業者やクレジットカード会社に銀行などが加盟する機関であり、個人の信用力に関する個人信用情報を管理しています。
貸金業者や銀行にクレジットカード会社は、融資やクレジットカードの審査をする際に、信用情報機関に照会して、申込者の個人信用情報を確認します。
このとき、事故情報が登録されていると、申し込みを断られてしまうのです。
借金の滞納が続くと、ブラックリストに載ってしまうことに注意してください。 -
(4)裁判を起こされる可能性
借金を滞納した状態でいると、債権者から裁判を起こされる可能性があります。
債権者から借金をした事実を否定することはできないため、債権者から裁判を起こされてしまうと、基本的には債権者の言い分を認める判決が言い渡されてしまうことになるでしょう。 -
(5)差し押さえを受ける可能性
裁判所から言い渡された判決が確定すると、債権者は、債務者の財産を差し押さえるために、強制執行の申立てをしてきます。
差し押さえでは、預貯金、給料、不動産、保険など債務者の有するすべての財産が対象になります。
給料が差し押さえられてしまえば職場に借金の滞納が知られてしまいますし、預貯金が差し押さえられてしまうと生活費が足りなくなるなどのリスクが生じます。
そのため、借金の返済が難しいと感じた場合にはできる限り早めに弁護士に相談して、債務整理を検討することが大切です。
4、借金の返済が難しい場合には債務整理の検討を
借金の返済が難しい場合には、債務整理を検討しましょう。
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(1)自己破産
自己破産とは裁判所を利用する債務整理の方法であり、裁判所から免責許可決定を得ることで、借金の返済義務を免除してもらうことができます。
税金などの非免責債権を除き、基本的にはすべての借金をゼロにできるため、自己破産は借金問題を根本から解決できる方法だといえます。
したがって、「借金総額が多くて完済が難しい」という場合には、自己破産を利用することを検討してください。
ただし、自己破産をする場合には、一定金額以上の資産をすべて手放さなければならず、ギャンブルや浪費などが借金の原因であった場合には「免責不許可事由」に該当するため、原則として免責を受けることができません。 -
(2)個人再生
個人再生も裁判所を利用する債務整理の方法で、裁判所から再生計画案の認可を受けることで借金総額を大幅に減額し、原則3年での分割払いを認めてもらえる方法です。事情によっては分割払いの期間を5年まで延長可能です。
個人再生では、債務整理以前の条件のまま住宅ローンを支払う等の一定の条件のもとで自宅の処分を免れることも可能となっており、自己破産のように必ずしも全ての資産を処分する必要はなく、免責不許可事由に該当する事情があっても利用することもできます。
そのため、「自宅などの資産を処分したくない」「ギャンブルなどが原因の借金がほとんどである」という方に向いている手続きです。
ただし、個人再生は返済を前提とする手続きであるため、安定した収入がなければ利用することができません。 -
(3)任意整理
任意整理とは、裁判外で債権者との交渉によって借金返済の負担を軽減する債務整理の方法です。
債権者と合意に至れば、将来利息のカット、遅延損害金の減免、返済方法の変更などによって借金返済の負担を軽減することができます。
任意整理では、自己破産や個人再生のようにすべての債権者を債務整理の対象にしなければならないわけではありません。
そのため、「保証人に迷惑をかけたくない」という場合には、任意整理により、一部の債権者を除外して手続きを進めることができます。
ただし、任意整理は債権者との合意による解決方法であるため、借金の大幅な減額は難しく、借金総額によっては任意整理では解決できない可能性もあります。
5、まとめ
借金を早く完済したいという場合には、まずは現状を把握して、収支の見直しや返済方法の変更などの方法により、完済を目指していきましょう。
現状を把握したところ、このままでは借金の完済が難しいと感じた場合でも、弁護士を通じた債務整理によって、借金返済の負担を軽減できる可能性があります。
自身の状況に合った最適な債務整理の方法を選択するためにも、まずは、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご連絡ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています