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コロナ禍の業績不振で賃金が未払いに! 支払い請求はできる?

2020年07月10日
  • 労働問題全般
  • 未払い賃金
コロナ禍の業績不振で賃金が未払いに! 支払い請求はできる?

昨今の新型コロナウイルスを引き金とした経済の停滞等で、企業の倒産を人ごとではなく感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

勤めている企業が倒産してしまうと、給与や退職金などの賃金が支払われない可能性があります。また、倒産までいかずとも、経営不振や労使間のトラブルなどが原因で未払い賃金が発生する場合があります。

そこで今回は、未払い賃金が発生した場合にどんな対応ができるかを、べリーベスト法律事務所 奈良オフィスの弁護士が解説していきます。

1、給与の未払いと具体的ケース

給与の未払いの概要と、未払いになる代表的なケースについて解説します。

  1. (1)法における給与の未払い

    給与の未払いとは、労働契約書や就業規則で定められた賃金が所定の支払日に支払われないことです。給与の未払いは労働基準法に違反する行為であり、30万円以下の罰金の対象になります(労働基準法24条)。

    なお、労働基準法における賃金とは、給料や手当などどのような名称であるかを問わず、労働の対償として会社などの使用者が労働者に支払うすべてのものを指します。

    ●賃金の代表的な種類

    定期賃金……手当などが入っておらず、定期的に支払われる基本の賃金
    賞与……いわゆるボーナスや特別手当。業績によって支給額が変動することがある
    手当……退職金、割増賃金、休業手当など


    なお、残業手当、深夜残業手当、休日出勤手当は、労働基準法において必ずつけなければならないと定められている。

  2. (2)経営不振が理由のケース

    給与未払いになるのは具体的にどのようなケースでしょうか。

    ひとつには、会社の業績が悪化して経営不振になり、社員に給与を支払うための資金の余裕がなくなってしまうケースがあります。

    しかし、今月の給与の支払いを待ってほしい、今月はこれだけしか払えない、などと会社から打診され断り切れなかった結果、給与が支払われないまま会社が倒産してしまう可能性もあります。

    給与を支払うお金がなければ請求できないと思われるかもしれませんが、労働に対する正当な対価として、事業主は労働者に賃金を支払う義務があります。経営不振を理由に従業員の給与を支払わなくてよいとする規定はないのです。

  3. (3)事業主と労働者の間のトラブルが理由のケース

    ほかにも、事業主である企業と、労働者である従業員の間に何らかのトラブルがあり、それが原因で賃金である給与が支払われないケースがあります。

    事業主と労働者の間のよくあるトラブルとして、勝手に会社を辞めたから、業務上のミスやトラブルで会社に損害を与えたから、などの理由があります。

    しかし、労働者が急に退職したり業務で失敗したりしたからといって、事業主が当然に賃金を支払う義務を免れるというわけではありません。従業員が会社に損害を与えたことを理由に、損害額を従業員の給与から勝手に相殺できるわけでもありません。

2、会社が倒産した場合の未払賃金立替払制度とは?

会社が倒産した場合に賃金を立て替える制度として、未払賃金立替払制度があります。

  1. (1)未払賃金立替払制度とは

    未払賃金立替払制度とは、労働者が勤めていた会社が倒産した場合に、一定の要件を満たせば未払い賃金の一部を国が立て替えて支払ってくれる制度です。

    立替払いの金額は、最大で未払い賃金の8割です。また、退職時の年齢によって、下記の通り立替払いの上限額が設定されています。

    • 30歳未満……88万円
    • 35歳~45歳未満……176万円
    • 45歳~……296万円


    なお、立替払いの対象となる賃金は、退職した日の6か月前から立替払の請求日の前日までに、支払期日が到来している未払い分です。

    また、立替払いの対象は定期給与と退職金で、ボーナス(賞与)は対象外なので注意しましょう。未払い賃金の総額が2万円未満の場合も対象外です。

  2. (2)未払賃金立替払制度の要件と請求期間

    未払賃金立替払制度を利用できるのは、以下2点の要件を満たした場合です。

    ●使用者(会社)についての要件

    • 使用者が事業活動を1年以上行っていたこと
    • 使用者が倒産したこと


    使用者の倒産とは、破産、特別清算、民事再生、会社更生のいずれかに該当することです。

    ただし、中小企業の場合は、以下の全てを満たした場合には事実上の倒産として制度の対象となります。

    • 事業活動が停止したこと
    • 事業活動が再開する見込みがないこと
    • 賃金支払能力がないこと
    • 労働基準監督署長の認定を受けていること


    ●労働者についての要件
    立替払いを受けようとする労働者の要件は、以下が行われた日の6か月前以降2年間に退職した者であることです。

    • 法律上の倒産の場合は、倒産について裁判所への申し立てなどが行われた日
    • 事実上の倒産の場合は、労働基準監督署への認定申請が行われた日


    たとえば、20年間事業活動を行っていた会社が民事再生を申請し、その申請日の3か月前に退職していた労働者については、立替払いの対象になります。

    なお、立替払いの請求は、法律上の倒産の日(破産手続の開始が決定した日など)または事実上の倒産の認定日の翌日から起算して2年以内の期間に行う必要があります。

3、未払い賃金を会社に請求する流れ

未払い賃金の支払いを会社に請求する場合の一般的な流れを解説します。

  1. (1)会社に相談する

    会社に未払い賃金を請求するには、まず総務部や人事部などに相談してみましょう。

    直属の上司に相談する方法もありますが、必ずしも力になってくれるとは限りません。しかるべき部署がない場合は、社長や代表者など会社経営のトップに近い人物に直接状況を訴える方法もあります。

    注意点として、相談をしても会社が真摯に応じてくれない場合、自力で交渉を続けても納得できる結果を得られにくい恐れがあるということです。交渉が進まない、そもそも交渉しにくい等であれば、早めに弁護士に相談することで交渉のスピードが速まり、精神的な負担の軽減も期待できるでしょう。

  2. (2)労働基準監督署に相談する

    労働基準監督署は厚生労働省の出先機関で、全国に窓口があります。会社などの事業主が労働基準法や最低賃金法などの労働関係の法律を遵守するように、指導や監督を行う機関です。

    会社が未払い賃金の支払いに応じてくれない場合、労働基準監督署に相談することもひとつの手段です。労働基準監督署は未払い賃金のほか、不当な長時間労働、不当解雇、雇用契約に反する労働実態などの相談に対応しています。

    労働基準監督署の調査の結果、違法性があると判断した場合、会社に対して是正勧告を行います。是正勧告は違法行為を是正するように促すもので、未払い賃金の場合は賃金を支払うように促します。

    なお、是正勧告はあくまで会社が適切に対応するように促すものであり、未払い賃金を強制的に徴収する効力はないため、注意が必要です。

  3. (3)内容証明郵便を送る

    未払い賃金の支払いを促す方法として、会社に内容証明郵便を送る方法があります。内容証明は郵便物の文書の内容、差出人、名宛人を証明してくれる郵便のサービスです。内容証明郵便に配達証明をつけると、相手が郵便物をいつ受け取ったかも証明できます。

    そのため、未払い賃金の請求書などを内容証明で送れば、未払い賃金を本気で回収しようとする意思を会社側に示すことができます。また、弁護士名義で内容証明郵便を出すと、より請求に応じやすくなる可能性があります。

    なお、未払い賃金の請求には3年の消滅時効期間(平成2年4月1日以後に支払期日が到来する賃金請求権に適用されます。それ以前は2年が適用されます。)があります。
    内容証明郵便には、相手に到達してから6か月間は時効が完成しない催告の効果があるので、時効が完成しそうなケースにも有効です。

    ただし、その間に訴訟を起こすなど時効を中断させる(中断とはそのことで時効がなかったことになり元に戻ることを意味します。)行為が必要なため、時効期間に関して心配な場合は弁護士に相談することをおすすめします。

4、未払い賃金に対して弁護士ができること

未払い賃金のトラブルについて弁護士に相談した場合に、弁護士ができることを解説していきます。

  1. (1)本人に代わって会社と交渉できる

    未払い賃金を請求するために会社と交渉するのは手間がかかるだけでなく、そもそも会社が交渉のテーブルにつかないために心理的負担が大きくなることも少なくありません。

    弁護士が、本人に代わって会社と代理交渉することで会社が交渉に応じやすくなることが期待できます。そのため、自分で交渉する精神的負担から解放されます。

  2. (2)適切な対策を判断できる

    会社が未払い賃金の支払いに応じない場合、交渉以外の方法を検討することになります。

    労働審判、少額訴訟、民事訴訟などがありますが、それぞれに特徴、条件、メリット・デメリットなどがあり、どの方法を選択すべきか判断するのは容易ではありません。

    労働問題に知見のある弁護士に相談すれば、会社との交渉が成立しなかった場合にどのような方法を選択すべきか、個々の状況に合わせて適切な対応やアドバイスをもらえるでしょう。

  3. (3)必要な証拠を収集しやすくなる

    労働審判や民事訴訟などで未払い賃金を請求する場合、未払いの賃金があることを客観的に証明するための証拠が重要です。未払い賃金に関する証拠の例として、以下のものがあります。

    • 賃金を証明する証拠:雇用契約書、就業規則、労働条件通知書、退職金規定など
    • 未払いを証明する証拠:給与明細、源泉徴収票、給与が振り込まれる口座の履歴など
    • 勤務したことを証明する証拠:業務日誌、タイムカード、月報など


    未払い賃金の種類や未払いの状況などによって、収集すべき証拠の種類は異なる場合があります。どのような証拠が重要になるか、弁護士に相談することで適切な証拠を収集しやすくなります。

5、まとめ

未払い賃金が発生する理由には企業の倒産、経営不振、労使間のトラブルなどがあります。勤めている企業が倒産した場合、要件を満たせば未払い賃金の一部の立替払を受けられる制度があります。

未払い賃金を会社に請求する方法は会社に相談する、労働基準監督署に相談する、内容証明郵便を会社に送るなどです。

会社が請求に応じない場合は労働審判や民事訴訟を検討することになりますが、未払い賃金を証明できる証拠を適切に収集するなどのためには、労働問題に知見のある弁護士に相談することが有効です。

未払い賃金でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 奈良オフィスにご相談ください。労働問題に知見のある弁護士が、賃金の回収に向けて全力で対応いたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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